欠陥住宅 調査報告の事例

下の表は実際に実際に行った調査を要約し再構成したものです。建物が特定されないように配慮しています。
また、悪用されないように簡潔に表現しています。

事例1 マンションの排水不良の調査
3階建、築9年の鉄筋コンクリートマンションの浴室や洗濯機の排水口からの臭気がひどいということで、依頼を受け調査を行った。ファイバースコープを排水管の内部に挿入し、モニターで確認すると、床仕上げとコンクリート床との間を通る横引きの配水管の中を、本来は、排水が留まることなく流れなければならないが、排水が管の底に残っていてる箇所が数箇所あった。そのため、滞留した排水から臭気が上がったり、上から排水すると、溜まった水に押し戻され、排水口から逆流する状態となっていた。横引き排水管の勾配が適切でなく、部分的に逆勾配になっているために起こる症状であった。———————————————————————–
床仕上げとコンクリート床との間の寸法は比較的小さいが不可能な寸法ではなく、排水ルートなどを再検討し、工事をやりなおした。(施工会社が瑕疵を認め工事を行った)
事例2 混構造の住宅の構造的問題
木造2階建て一部鉄骨造がある住宅で、元々は、床の傾き、工事が雑、壁にひび割れが入っているが補修してくれない、などの不満で調査を行ったが、調査の過程で様々な構造的な瑕疵が明らかになった。
(構造問題以外も瑕疵があるが割愛)
鉄骨の柱と梁の接合部に、通常、突合せ溶接が必要なところを隅肉溶接している為、強度が不足している。
鉄骨の1階の上に2階の木造を立てているが、鉄骨と木造の接合が全く不適切で強度不足。
杭工事の際に、既存の塀の基礎に当たるため、移動して杭を打ったので、一部の基礎の下に杭が無いことが明らかになった。
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木造住宅を専門としている会社で、鉄骨に対する知識が無かった。また、設計・施工ともに問題があった。(現在、係争中で、裁判の証拠作りや被告側の資料の分析などを担当している)
事例3 住宅の床の変色の調査
木造2階建て住宅を引渡後に、フローリングが部分的に黒く変色したが、原因を調査して欲しいということで調査した。
フローリングの塗装の下が変色し、部分的に少し膨らむ箇所もあった。床下に入ると、床の合板下地の下には断熱材(発砲ポリスチレン板)がある。施工中に内部の床の合板下地が台風で濡れ、乾燥しないままフローリングを張ったため、上のフローリングはUV塗装で水分が抜けず、下の断熱材も不透湿性だったので、床の水分の逃げ道が無くなり、カビが発生した。床下の、f断熱材を剥ぐと、カビが発生していた。
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住宅会社は非常に短工期で造っていますので、その弊害が出ました。フローリングの塗装下にカビが発生することに驚きました。(変色の正体と原因が判明したため、施工会社が張替え)
事例4 リフォーム工事の必要性の調査
木造2階建ての住宅に訪問販売業者がやってきて、不必要と思われる工事を行った疑いがあるということで調査を行った。工事は1年の間に計4回行われ、それぞれの工事を検証した。瓦屋根は瓦止めという、瓦の隙間をコーキングで塞ぐ工事が行われていた。瓦は釘止めビス止めが基本で、コーキングは漏水の原因になることもあり、瓦メーカーは行わないように呼びかけている。浸水復旧工事。床下に、水が浸水していると言って、床下で浸水復旧工事を行った。浸水していれば跡が残るが、痕跡は無く、床下に1~3cmのモルタルを敷きならしていたが、これでは、今後の浸水対策・湿気対策にならない。土台補強工事。家が傾いていて、このまま放置するととんでもないことになると言って工事を行った。
確かに、家は傾いていたが、長期間進行しておらず、補強の必要性は議論の余地が有るが、「放置するととんでもないことになる」ことは考えにくい。また、傾きの修正はされておらず、補強もされていなかった。基礎補強工事。床下の補強を行ったと言うが、基礎の立ち上がりにペンキを塗る工事など不必要な工事が行われており、補強工事はされていない。さらに、土間打ちが計上されているが、浸水復旧工事でモルタルは施工済みであり、2重計上であった。
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テレビで見るようなリフォーム詐欺の典型のような調査でした。我々が、いろいろな所に調査に行っても、その大部分は故意ではなく、過失が原因となる不具合ですが、この事例は故意を強く感じる調査でした。(今後何らかの展開があると思われる)

印象的な事例も紹介していますが、多くは、事例1や事例3のように、施工会社が瑕疵を認め補修しています。
また、調査の結果、不具合の程度と原因が心配する程ではなく、依頼者が安心されることもあります。
また、全体の4%程度が裁判になっています。